私たちはものを食べます。食べたものは体内で消化され、必要な栄養が取り出されるわけですが、この消化を直接行うのが消化酵素と呼ばれる酵素です。生物ほど物質を素早く、且つ丁寧に分解するシステムは地球上にはありません。私たちは酵素のおかげで食物から栄養を得、生きるエネルギーを得ることができるのです。
酵素はこの消化酵素を代表に、体内の化学変化を直接行っている物質で、対象に直接触れることで、物質の分解や合成をうながします。しかも、「酵素Aは、Aという物質を分解する」といったように、対応する物質だけに働き掛けるので、胃酸のように胃壁を溶かすこともありません。必要な部位で、必要なものを適切に作りだすことが出来るのです。
この便利な特徴を組み合わすことではじめて、多くの物質が存在する体内でも、整然と化学反応を行なうことができます。消化、吸収、光合成、生命にとって欠くことのできないこれらの行為も、酵素があるからこそうまく機能するのです。落ち葉や生物の排泄物、死骸などを「土に還す」のも、河川に流れた汚水が流されるうちに浄化されるのも、微生物が出す酵素のおかげです。もっと言えば、動物が植物を食べ、動物が動物を食べ、微生物が排泄物や生物の死骸を食べ無機物へと分解し、植物が無機物と太陽光を養分として成長する。この地球の生命を支える食物連鎖は、酵素分解のリレーであると見ることが出来ます。酵素の確実な分解・合成能力と対象を選ぶ特徴は、地球の物質循環において無くてはならないものなのです。 |
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