●What's酸性雨
酸性とアルカリ性。これを化学的に理解するにはその水溶液に含まれる水素イオンの濃度によって決定します。この水素イオンの濃度はph(ペーハー)という単位で表され、0〜14の範囲で示されます。具体的に7が中性で、7より小さい数字を酸性、大きい数字はアルカリ性となります。実際ph1の違いは10倍の差があるので、ph5とph3では100倍のひらきがあります。一般に雨水は大気中の二酸化炭素が溶け込みph5.6を示します。そこでph5.6以下の値を示す雨のことを“酸性雨”と呼んでいます。
酸性雨は工場から出る石炭や石油、天然ガスなどを燃やして出される排煙や、自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物などが原因と言われています。これら大気汚染物質が上空で大気の中で化学反応を繰り返し、雨や霧、雲などに溶け込んで地上に降り注ぐのが酸性雨なのです。
●魚の棲めない死の湖
北欧を中心に世界の湖が死に直面しています。酸性雨が降り続くと湖の酸性化が進み、魚の棲めない死の湖になってしまいます。一般に泥と一緒に湖底に溜まった金属類が酸化し、その有害な金属が水中に溶け出すので、魚などの生き物の生殖活動に悪影響を与えるのです。酸性雨を栄養源としたプランクトンの繁殖が進むことも問題です。その結果湖の酸素が不足して魚が死滅するのです。魚のエサとなる微生物の活動も弱まるので湖内の食物連鎖の循環も途絶えてしまいます。このように酸性雨が降り注ぐことで、著しい「悪循環」が生まれ、湖は生命活動のない死の湖へと変身するのです・スウェーデンでは、およそ10万ある湖沼のうち、約20%が酸性化していると報告されています。また酸性雨によりアメリカ・ニューヨークの自由の女神が腐食して勝利が行われたことが話題になりました。さらにイギリスのウエストミンスター寺院やドイツのケルン大聖堂、イタリアやギリシヤの多くの銅像や石像などが、酸性雨によって腐食が進んでいます。このように世界遺産も酸性雨によって崩壊する危険があるのです。
さらに恐ろしいのは、酸性雨の森林への影響です。土壌に酸性雨がしみ込んで酸性化が進むと、世界的規模で問題になっている森林破壊が加速度的に進行する恐れがあります。実際、日本の屋久島でも世界遺産に登録された原生林が酸性雨の影響から立ち枯れを始めているとの報告もあるのです。
いずれにしろ、その生命活動の根本である環境の悪化に伴い、生き物の生存が脅かされるわけです。むろん私たち人間もその範疇に入ります。湖沼や森林で起きる現実は、そのまま写し鏡のように私たち人間にも当てはまるわけです。
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